ご報告が遅くなりましたが、今夏、中国・太原で開催された「世界中聯(*1)薬膳食療研究専業委員会(*2)の第4回学術年会に、当会から梁代表以下3名で参加してきました。
あつい会議の様子をレポートします。
(*2) 「薬膳食療研究専業委員会」は、世界中聯に属す多くの分科会(日本における医薬分野の学会)の中の一つで、毎年1回、学術研究討論会を開催し、中国の世界各国(主に東南アジア)の専門家達が、学術討論や情報・意見交換する場となっています。
開会式は翌26日。会議の名が書かれた赤い幕の下、壇上には主催者や長たる人たちがずらりと居並び、中国だけでなくアジアの各国から、200人を数える参加者が会議室に大集合していました。
挨拶をする人がメモを見て話すのは、洋の東西を問わずですね。そんな中、海外代表として挨拶された梁ペイ先生は、日本の実情、海外へ普及するに際して統一基準が必要なことなど、みなさんに語りかけるように話されました。
とても親しみやすく受け入れられた様子でした。
開会式の後は参加者全員がホテルの前に移動して、大写真撮影会です!
大人数の集合写真とあってなかなか大変でしたが、なんとか無事に終了し、いよいよ論文発表です。
当日の会場では、いざ発表というときになって、プレゼンのデータが主催者のパソコンに入っていないハプニングにも見舞われましたが、 発表自体は無事に終わり、食事の時には次々にいろんな方からお声がかかりました。
論文の発表と質疑応答は26日、27日の2日間にわたって行われました。
論文の内容は多種多様。日本で薬膳の会議や集まりに参加したことはないのですが、日本で語られる「薬膳」とは雰囲気がかなり異なっていました。
日本で「薬膳」といったとき思いおこされる、料理教室を通しての交流、体質と薬膳レシピの解析、 古典・伝統の研究といった内容ももちろん充実しています。季節に応じたお茶の種類と飲み方の話は、お茶の種類やその効果だけでなく、目で見て楽しみ、香りを楽しみ、わかりやすく実践してみたくなる内容でした。
9種類の基本体質の研究もありました。
日本でまだまだ議論されていないなと感じたのが、産業界との結びつき、インターネットなどの情報ツールの活用をはじめ、 食材など薬膳の素材となるものの分析、実験、臨床などです。高血圧など慢性病と食材をテーマにしたり、イソフラボンなど食材に含まれる成分を分析したり、研究内容は多岐にわたり、また現代的で、科学的でした。特に素材の分析や臨床試験などでは、論文集を見ていると数字やグラフや表がいっぱいでてきて、数字が苦手な私の頭には一瞬とばりが降りてしまうくらいです。綿密な実験とデータ収集が行われています。そして、そのどれも中医学の基礎理論をはずれることはないので感動です。日本とまた違った角度でも語られる薬膳に、わくわくどきどきの数日間でした。
中国滞在中はむずかしげな論文だけでなく、食事も大いに楽しみました。
太原特産の黒酢は必ず食卓にのぼり、ホテルのバイキングでも夏に合わせた料理、緑豆のスープや大量のスイカが登場します。近くのレストランで薬膳と刀削麺も堪能できました。
学会終了後は太原から北京に移動し、本格薬膳料理や素食(精進料理)を堪能しました。
薬用植物研究所内にある中衛御苑福膳酒店では、目で見て味わい、食べてもちろんとてもおいしいお料理の数々に感動しました。オレンジ色の鮮やかな人工冬虫夏草と干しいたけの煮込みスープや、茯苓粉とレイシの白黒の渦巻きパン(饅頭?)、荊芥の葉っぱのサラダなどなど、店内では写真撮影が禁止なので、お料理の写真をお見せできないのが残念です。お食事の後は同じく所内のお店へ行き、いろいろな生薬をあれこれ見せていただいたりしました。
素食は、お肉のように見えてお肉のような味も食感もするのに、お肉を使っていないお料理です。
日本でも自然食レストランなどで、おからとこんにゃくの鶏風唐揚げなどを食べたことがありますが、さらに本格的、さらに豪華でした。一切肉類を使っていないとは思えない料理の数々に舌鼓をうちました。思いがけず梁先生のお母様(北京中医薬大学の終身教授で、中医学史の分野では世界の第一人者だそうです)ともご一緒でき、 会話もはずみとても楽しいひと時でした。
そのほかにも中薬の専門店、同仁堂を見学、買い物をしたり、スーパーのお菓子やペットボトル飲料にも薬膳が活かされているのを垣間見たり、とても実りの多い旅となりました。
報告は以上です。
皆さんも機会があればぜひ薬膳の旅にご参加くださいね!
中医営養・薬膳学研究会
企画・運営担当
(2013.11.07)