この6月の応用薬膳講座は、東京クラスも京都クラスも同一テーマ(「薬膳で季節を考えよう(夏)」)でしたので、合同で報告します。
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(1) 東京クラス:応用薬膳講座 (第6回)
さて、東京クラスは、6月24日(月)に第6回調理実習付応用薬膳講座を開催いたしました。
今回のテーマは「薬膳で季節を考えよう(夏)」。
もうすぐ梅雨が終わり、本格的な夏がやってきます。講義の中心は暑邪と火邪の関係や違いについての理論的な解説でした。
暑邪は夏の熱気から生じ、熱の性質を持ちます。猛暑の時は火邪も盛んになります。夏といえば、スイカ、冷たいビール、カキ氷等々、 やはり冷たい食べ物が並びます。日本人は本能的に暑邪と戦っていますね。
しかし、冷たいものを過食すれば、当然体に良くありません。
体の熱を冷ましながら、足りないものを補っていく。夏の食養生には「清補」の考え方が重要です。
そして、後半の調理実習は、今回も梁ペイ先生による調理実習タイム。
上述の夏の「清補」に配慮した今回のレシピは、
- さんざしとレンコンの甘酸っぱいサラダ
- 肉と春雨のレタス包み
- なすそうめん
- スイカの塩味のデザート
の4種類です。
スイカのデザートでは、赤い実の部分に加えて、皮の白い部分に塩をかけて少しおいたものも使います。 そして、いままでスイカの皮を当たり前のように捨てていた自分に後悔しました。「とてもおいしい!!」です。是非、試してみてください。
試食しながら皆さんからは改めて今回のテーマやレシピに関する質問が相次ぎ、和気あいあいと楽しみながら3時間の講座が終了しました。
次回の東京クラスは、7月22日(月)。現場で薬膳料理を実践していらしゃる金井先生を調理実習講師にお招きして、 テーマは「薬膳で美肌をめざそう」の予定です。
みなさんのご参加を心よりお待ちしております。
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(2) 京都クラス:応用薬膳講座(第2回)・薬膳実践コース(第2回)
去る6月16日(日)、京都市山科青少年活動センターにて第二回応用薬膳講座・薬膳実践コースを開催しました。
今回の応用薬膳講座のテーマは「薬膳を「季節」で考えよう(夏)」。前回同様各方面から7名の方にお集まりいただけました。メニューは東京クラスと同じ。梅雨とは名ばかりの、じりじり陽光が照るなかでの開催でしたので、 レジュメに載っている涼やかなスイカのデザートなどに、口の中に思わずよだれがわいてきます。
見た目でも清熱生津できる、おいしそうな4品です。
京都の講座では調理実習がない分、レシピの解説をじっくり聞くことができ、薬膳献立を考えるにはとっても役立ちます。
たとえば性味表。食材を並べてみて、性味表に温性の食品が多いように見えても、実際に使う分量が多いのは涼性のものだったりするので、一品または一食を全体的に眺めてみると平性から涼性にまとまっているんです。それ以外にも、豚肉を鶏肉に変えると効能などどう変化するか、温かくして食べるとき、冷たくして食べるときの気配りなど、前半の夏の特徴とあわせて、夏の薬膳を理解できました。
引き続いて開講された薬膳実践コースは参加者4名。今回は初めての課題発表です。 前回の講義後、各自に配られたそれぞれのご相談内容に基づいて、講義後の3週間で各自が弁証を行い、施膳方針や食材を決めて レポートにまとめて提出し、それぞれ、先生に事前にチェックしていただいて発表に臨みました。講義では、まずは各自が提出した方針について、ほかの方の意見を聞いたり、先生に注目すべきご相談内容のポイントを示していただいたりしながら、軌道修正していきます。
確かな施膳方針が定まったら、いよいよ薬膳アドバイス。
先生はご相談者さんに扮して、「ん~、わからない」「なんで?」などと、薬膳を知らない人の目線で受け答えされ、質問されたりします。参加者はひやひや。「よくわかる~。ありがとうございます。」が出たときには、一同ホッと胸をなでおろしました。ご相談者さんに無理なく実行してもらえるアドバイスを行うのは、意外と難しいものですね。
「薬膳」のアドバイスといえば一品レシピを提示して効能を解説するようなイメージでしたが、お料理をできない働き盛りのサラリーマンやOLには体質に合ったお茶をおすすめしたり、忙しい人には毎日続けられる簡単な方法を提案したり、ご相談者さんの生活に寄り添うことの重要性が理解できました。
これまで薬膳を勉強してきた中で、「ご相談者さん」の存在がなかったため、それが実感できただけでも大きな収穫です。前回から3週間と、準備期間が短かったため、みなさんたいへんだったと思います。お疲れさまでした。
次回の京都クラスの応用薬膳講座は7月21日(日)午後、テーマは「薬膳を「年代別」に考えよう」です。
次回もよろしくお願いします。
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上述のとおり、応用薬膳講座は施膳を中心にレシピを考え、調理、試食する、実用性の高い体験型の講座となっています。毎回完結したテーマなので、1回だけの受講でもすぐにご自宅で気軽に再現できる実践的なプログラムになっています。
みなさんのご参加を心よりお待ちしています。
それでは、また。
中医営養・薬膳学研究会
企画・運営担当
(2013.07.02)