近年、自然療法・自然食が注目される中、薬膳がじわじわと世の中に広がっています。 「医食同理」に加え、「薬食同源」という言葉や、それに関連する書物もあちらこちらで目にするようになってきました。

薬膳に関する資格もいろいろ登場してきました。薬膳知識が普及してくるにつれて、「○○薬膳師」、「△△薬膳アドバイザ」などという聞き慣れてない名称も定着しつつあります。

しかし、中医営養学の一部として薬膳を教えてきた私としては、喜ぶべきなのに、なぜか心配でたまらなくなります。

何年も薬膳を勉強したのに、十分に応用できない、自分の言葉で薬膳を語ることができない、というのはもったいないと思います。

専門家として取り組むのならば、薬膳は「中医営養学を踏まえた薬膳」なのだと認識していただきたい。

学問的な背景、つまり、中医学の基礎理論(中医診断学、中薬学、方剤学など)と「中医営養学」をしっかり理解することが何よりも大切です。
中医学基礎理論があるから、中医営養学が成り立ち、薬膳はこの両者を実現する方法の一つに過ぎないのです。
つまり、薬膳までの道のりには、近道がないのです。

この研究会の活動を通じて、皆さんが薬膳勉強に進んでいただくお手伝いができればと祈るばかりです。

平成23年元旦

一般社団法人 日本中医営養薬膳学研究会

代表  梁 ペイ